開催趣旨

建築ってなに?図面をひくこと?模型を作ること? もちろんそうだけど、それらはすべて、もっと深くて広い、アイデアの泉から生まれる。
早稲田大学建築学科の名物授業「設計演習A」は、そんな分野の枠を超えた柔軟な思考を繰り返し、作品として表現していく授業である。4人の講師による各スタジオ(グループ)にわかれ、ローテーションしながら、それぞれいくつかのユニークな課題に挑戦する。本展覧会では2018年度設計演習Aの作品を展示・実演する。

多様な感性が集結した創造の博覧会へ、ようこそ。

開催概要

早稲田ギャラリー周辺地図
2019/8/3-8/5 10:00-18:00
@早稲田ギャラリー
早稲田大学大隈講堂 目の前
東西線早稲田駅より徒歩7分
高田馬場駅より都営バス
   「早大正門」下車すぐ

設計演習Aとは?

「設計演習A」は早稲田大学創造理工学部建築学科の1年生が秋学期に履修し、学生は4つのグループに分かれ、順番に4人の担当教員から講義を受ける。各教員のスタジオを回り、デッサンの基礎から立体作品まで数多くの製作を通して、学生の感性を磨く授業。
建築意匠のみならず、建築史・都市設計・ランドスケープの視点から、「建築・都市を見る(診る・観る)、計る(測る・図る)、記述する」演習を行う。

教員紹介

矢口哲也 / Tetsuya YAGUCHI
早稲田大学教授
1993年に東京理科大学建築学科を卒業後、東京工業大学総合理工学研究科へ進む。2001年に渡米し、カリフォルニア大学バークレー校にてアーバンデザインを学ぶ。1995年に鹿島建設株式会社建築設計本部に勤めたのち、BMS design group(現page)、EDAW(現AECOM)の勤務を経て、2016年から早稲田大学創造理工学部建築学科教授となる。都市の持続性について、環境的・社会的・経済的な視点から研究を行い、実際の都市デザインへの還元を実践している。
中谷礼仁 / Norihito NAKATANI
早稲田大学教授
1987年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業後、1989年に同大学院修士課程を修了。同年に清水建設株式会社設計本部に勤務したのち、1992年に早稲田大学大学院後期博士課程に進む。2012年、同大学教授となる。数寄屋・茶室研究の後に、視野を拡大し都市の先行形態の研究、今和次郎が訪れた民家を再訪し、千年続いた村研究−千年村プロジェクトに携わる。主な著書に『動く大地、住まいのかたち プレート境界を旅する』(岩波書店2017)
小坂淳 / Jun KOSAKA
美術家
大阪大学工学部建築学科卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻を修了する。1994年から2000年にかけて、SFマガジン(早川書房)装画を担当し、グレッグーガン「ディアスポラ」(早川書房)等、SF文学の装画を手がける。また、文部科学省「一家に一枚宇宙図2007」制作に参加した。2007年にはカンヌ国際広告祭にて、2007Cyber Lions銅賞を受賞(受賞作品「4D2Uナビゲータ」)。2000年から朝日新聞に現代社会をテーマとした作品を毎月掲載する。
山崎健太郎 / Kentaro YAMAZAKI
建築家
1976年、千葉県に生まれる。2002年に工学院大学大学院建築学専攻を修了し、同年から株式会社入江三宅設計事務所に勤務する。2008年、一級建築士事務所山崎健太郎デザインワークショップを設立。千葉県の『はくすい保育園』で2015年にグッドデザイン賞ベスト100 + 未来づくりデザイン賞を受賞。また、ドイツの「iF DESIGN AWARD2017」において日本人初の建築部門最優秀賞を受賞する。

課題紹介

「手のスケッチ」

スケッチの基本トレーニングとして自身の手をスケッチしましょう

「カラダと環境1」

あなたの周りの環境と、人間の意識的行動・無意識の行動との関係をスケッチで表現してください。
人(利用者の属性も大切です)、または人の一部分と環境(物)の関係がわかるスケッチとしてください。

「カラダと環境2」

スケッチで人間の行動と周辺環境を丁寧に表現してください。
人が思いがけない使い方をしている環境の特性をスケッチと合わせて表記してください。

「体と環境 複数の人間が作る空間」

複数の人が集まると、私たちは行動や周辺環境によって、無意識に人と人の距離や向きを調節しています。
今回はこのパーソナルスペースの調節行動をスケッチで表現します。

「体と環境 1/1の体から考える人体」

人体の寸法はすべてのデザインの基礎になっています。
まず、原寸で人体寸法とプロポーションを理解します。これを縮小し人の動きをスケッチで表現します。

「自画像」

嬉しい時の自分の表情を絵にして見てください。

「最強の私」

自分の中にある強さを発見して見ましょう。

「自画像〜こうありたい自分〜」

この自画像課題では自分と向き合い、「こうありたい自分」を探し、白黒のスケッチで表現してください。
現在の自分を詳細に描きとることで自分の個性を発見し、そして課題を通して自分を好きになってください。

「自画像〜自分再発見〜」

人間は自分が思うほど自分の顔を知りません。
よく見るとこんな顔をしていたのかと驚くこともあります。
鏡に映った自分の新発見を自画像で表現してください。

「高さ Xmm の世界」

目線、スケールなどを変えることで、日常とは違った風景を描写してください。

「東京絵巻」

過去や未来の人たちへあなたの暮らしている都市の風景を伝えてください。

「100均ブリッジ」

100円ショップにあるものを使って、ブリッジをつくってください。
制作部分は橋桁です。橋桁を支える柱は無いものとします。
つまり、長ければ長いほど難しいです。橋の構造は問いません。

「建築の原器としての腰掛け」

名建築からインスピレーションを受けて、腰掛けを作ってください。

「素材測定」

身の回りにある素材のもつ特性の限界や強み、弱みを美しく、そして鮮やかに表現してください
様々な世界各国にあるヴァナキュラーな建築のマテリアルやディテールを参照しながら、実際の素材を使って立体表現すること。

「持ち運べる建築」

古代ローマの建築家ヴィトル・ヴィウスによると建築は、用・強,美から成り立つ。
一方、建築は、地面とつながって建てられる。この建築たらしめる要素のうち、地面とのつながりを外して考えることで、従来の概念をより拡張した建築、つまり持ち運べる建築を考えてください。

「都市の採集」

同じ種類の都市的工作物を一つ見出し、そのヴァリエーションを可能な限り採集してください。

「都市のリズムを採集」

街の中にあるリズムを見つけ出して、それを各自の創意によって可視化しなさい。

「サイをふれ」

さいころをデザインしてください。この課題は、機能(目的)とそれを達成するかたち、作品(結果)は一義的対応でないことをスタジオ全体として証明します。
各自、それぞれの「サイのふりかた」を完成度高くデザイン、製作してきてください

「地球歴2018年日本滞在日記」

(宇宙人としての)地球人として、二週間分の観察日記をつけなさい。

「役に立たない機械」

何かの役には立っていそうなのだが、それが何かは決して分からない機械です。
簡便に持ち運べるサイズのもの、持ち運び可能なものにしてください。プロダクトとして販売ができるようなシンプルさ&完成度も期待します。

「建築お土産」

古今東西の有名建築のミュージアムグッズを試作します。
その建築の特徴を生かして、持ち帰ることができるサイズにしてください。
建築以外の新しい機能(文房具、生活用品、アクセサリー、お菓子など)を与えてください、
もらって嬉しいモノにしてください。

「私しか知らない美」

美しいものを描きます。
しかし単に美しいのではなく、共感が得にくい美しさや、見つけにくい美しさ、誰にも知られていないような視点から見える美しさを探してください。

「REMIX名建築」

REMIXとは、複数のトラックに録音された既存の楽曲の音素材を再構成したり様々な加工を加えることによって、その曲の新たなバージョンを製作すること。
この音楽的手法を建築に当てはめることで、何か新しいものを生み出すことができるでしょうか。
オリジナルに対する敬意を表しつつ、自由に発想してください。

「妄想感想文」

とても行きたかったのに行けなかった展覧会、ライブイベント等や映画、
読みたいのにいまだ読めていない書籍等ありますよね。
それらに対する期待が膨らんで、勝手に内容を想像し、脳内で素晴らしいものになっていることはありませんか。
今回はその妄想に従って、さも見たかのごとく、読んだかのごとく感想文や絵日記を書いてください。

「発見!? パワースポット!」

実際に存在する場所やもの等を、勝手にパワースポットにしてください。
「パワースポット」とは、何らかの「パワー」を感じる場所とします。

「知られざる集落の風景」

「未知の人々」が営む生活の風景を伝えてください。
「未知の人々」は私たちとは、習慣がちょっとだけ違うかもしれないし、もしかしたら地球の外にいる存在かもしれません。

「好きな作品を一つ選び、それがA++を取るような課題を考え、さらにその課題にチャレンジする、という課題」

「けんちくものがたり」

建築物を一つ選び、その建築を舞台として選んだ建築物の特徴を生かしたストーリーを作り、絵本にしてください。

「欠落を作る自由、欠落を埋める自由。」

新しいぬり絵本を作ってください。
欠落しているのは「色」である必要はありません。
何かが足りない状態を作り出して、それを埋めることを楽しむ、そんなぬり絵本です。

「けんちく えいさい きょういく」

小学生以下を対象とした、「建築力」を養う教材を作ってください。
建築を考える上で、どのような力を養うのか意識してアイデアを練ってください。

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